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お知らせ
  • 「ターゲットタンパク研究プログラム(TPRP)」は2007年から5年間実施され2011年度末に一応終了致しましたが、2012年度以後も、ターゲットタンパク研究分野の基本的生命医学・薬学等への貢献そして食品・環境等の産業利用、ならびに、技術開発研究課題の生産解析制御そして情報の各領域から成果がさまざまな形で発表・提供されています。特に、技術研究開発課題の成果は、創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業に継承されて、構造生命科学の基盤として機能し始めています。  本ポータルサイトでは、これからも2012年3月までの研究成果の集約を開示し続けるとともに、その後の展開も「構造ギャラリー」と「構造生命科学ニュースウオッチ」でご紹介してまいります。

ターゲットタンパク研究プログラム(TPRP)に対する総合科学技術会議の事後評価結果を本サイトの「評価」ページに掲載しました
構造ギャラリー
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構造生命科学ニュースウオッチ
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万民・万物のためのゲノム編集技術

Nature Biotechonology 2014年4月8日号は、EDITORIAL、NEWS FEATURE、PATENTS、NEWS AND VIEWS、Research:REVIEWの各セクションでCRISPR-Casシステムを取り上げた。EDITORIALの記事は、”この18ヶ月の間にCRISPR-Casゲノム編集技術関連論文が125編以上発表され、少なくとも3つのベンチャー企業が設立された。”と書き起こし、先月設立されたInnovative Genomics Initiative (IGI)が標榜するようにCRISPR-Casシステムはゲノム編集に変革をもたらすと結論づけている。PATENTのセクションでは、CRISPR-Cas技術によって新たに産み出されるであろう人工遺伝子、人工タンパク質、トランスジェニック生物の特許可能性について論じられている。
EDITORIAL→ Genome editing for all. Nat Biotechnol. 2014 Apr 8;32(4):295
NEWS FEATURE→ Gene editing at CRISPR speed. Nat Biotechnol. 2014 Apr 8;32(4):309-12.
PATENTS→ Webber P. Does CRISPR-Cas open new possibilities for patents or present a moral maze? Nat Biotechnol. 2014 Apr 8;32(4):331-3.
PATENTS→ Recent patent applications in CRISPR-Cas systems. Nat Biotechnol. 2014 Apr 8;32(4):334.
NEWS AND VIEWS→ Garside EL, MacMillan AM. Cas9 in close-up. Nat Biotechnol. 2014 Apr 8;32(4): 338-340
REVIEW→ Sander JD, Joung JK. CRISPR-Cas systems for editing, regulating and targeting genomes. Nat Biotechnol. 2014 Apr 8;32(4):347-355

大腸菌を改変してバイオフィルムから光電素子を形成することができた

大腸菌が細胞外に分泌するCsgAタンパク質はCurli線毛を形作る。MITのTimothy K. Lu 等は,anhydrotetracycline (aTc)またはバクテリア細胞間の情報伝達物質であるacyl-homoserine lactone (AHL)の存在下でのみcsgA遺伝子が発現するように大腸菌を改変することによって、バイオフィルムの形や大きさを制御可能にした。さらに、CsAタンパク質にヒスチジンを複数含むペプチドまたはSpyTagを付加して、バイオフィルムと非生物材料(金(Au)微粒子、ZnS、CdTe/CdS)との融合を実現した。 具体的には、導電性のバイオフィルム、金(Au)のnanowiresとnanorods、蛍光を発するZnSのnanoparticleを形成し、また、CdTe/CdS量子ドット(quantum dot; QDs)に金微粒子を局在させることでCdTe/CdS QDの蛍光の強度と時間を制御できることを示した。本研究によって微生物の遺伝子発現ネットワークの改変、細胞間の情報伝達機構の利用、そして非生物材料と結合可能なペプチドタグを組み合わせることによって、機能する生物・非生物複合体を形成することが可能なことが示された。
原著論文→ Chen AY. et al. Synthesis and patterning of tunable multiscale materials with engineered cells. Nat Mater. . Online publication 2014 Mar 23.
NEWS & ANALYSIS→ Service RF. Synthetic biology: Synthetic biologists design 'living materials' that build themselves. Science 2014 Mar 28;343(6178):1421

真核生物のRNase Ⅲの構造を解き、基質の選択と結合の分子機構を明らかにした

RNase Ⅲは、二本鎖RNA(dsRNA)を切断する酵素Dicerのファミリーに属し、RNAの成熟を介して遺伝子調節に関わるRNA分解酵素の一種である。これまで研究が進んでいたバクテリアのRNase Ⅲの知見からは真核生物のRNase Ⅲの振る舞いを説明することができなかった。今回、カナダUniversite de Sherbrookeの Sherif Abou Elelaと米国National Cancer InstituteのXinhua Jiの研究チームは、Saccharomyces cerevisiaeのRNase Ⅲ(Rnt1p)がdsRNAを切断した後のRnt1p:RNA複合体の構造を決定し、基質の認識・結合における真核生物特有の分子機構を明らかにした。
Liang YH, Lavoie M, Comeau MA, Abou Elela S, Ji X. Structure of a Eukaryotic RNase III Postcleavage Complex Reveals a Double-Ruler Mechanism for Substrate Selection. Mol Cell. (2014) i press, corrected proof. Available online 3 April 2014
PDB登録番号→ 4OOG

酵母ゲノムをデザインする:ついに機能する真核生物の染色体が合成された

2011年Jef D. Boeke等は、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて、コンピュータで設計しDNA合成した第9染色体右腕90-kilobaseと第6染色体左腕30-kilobaseによって該当部分を置換しても、酵母として機能し、多様な表現型が生み出されることをNature誌で報告した。この成功は、loxPを利用して多数の変異を同時に導入可能としたSCRaMbLE (synthetic chromosome rearrangement and modification by loxP-mediated evolution)法の有効性を実証し、酵母染色体丸ごとを合成・置換するプロジェクトSc2.0の実現可能性を示した。その後、2007年にジョンズホプキンス大学で始まっていた酵母DNAを合成する夏の学校”Build A Genome”プロジェクトSc2.0は急速に国際的な広がりを見せた。そして今回、ジョンズホプキンス大学のSrinivasan ChandrasegaranJef D. Boeke等の国際チームは、酵母第3染色体の設計・合成・置換の成功を報告するに至った。合成した染色体は、野生型に対して500カ所以上の改変が加わり、319,667塩基に対して273,831塩基へと「効率化」されていた。SCRaMbLEとSc2.0は、酵母の基礎研究から始まりアルコール飲料やバイオ燃料などの応用研究までを加速し、さらにえ、酵母がヒトの染色体の解析の場たらしめるかもしれない。
【注】野生型の酵母染色体に加える改変は参考文献のBOX 1に見やすくまとめられている。
原著論文→ Annaluru N.et al. Total synthesis of a functional designer eukaryotic chromosome. Science 2014 Apr 4;344(6179):55-8. Online publication 2014 Mar 27
参考文献→ Dymond JS. et al. Synthetic chromosome arms function in yeast and generate phenotypic diversity by design. Nature 2011 Sep 14;477(7365):471-6.
NEWS FOCUS→ Pennisi E. Building the Ultimate Yeast Genome. Science 28 March 2014;343(6178):1426-1429

光合成装置の構造解析に新たな展開:集光アンテナタンパク質LH1と光合成反応中心RCの複合体構造を3Åの分解能で決定

 光合成は光エネルギーから酸素を生成し、化学エネルギーを生成するヒトにとって必須の反応である。光合成研究の格好のモデルである光合成細菌の装置は、光反応中心(RC)、RCを囲むアンテナタンパク質LH1、LH1とは別のアンテナタンパク質LH2の装置で実現されている。1985年にRCの構造(分解能3Å)を発表したJohann Deisenhofer、Robert HuberそしてHartmut Michelは1988年ノーベル化学賞を受賞した。LH2の構造は1995年に2.5Å分解能で解かれた。残るLH1についてはこれまで低分解能の構造しか得られていなかったが、今回、京都大学の三木邦夫と茨城大学の大友征宇等は、温泉から分離された好熱性光合成細菌Thermochromatium tepidumに由来するLH1とRCの巨大な複合体の構造をX線構造解析によって3Åの分解能で解き、LH1からRCヘのエネルギー移動、化学エネルギーを運搬するユビキノンの移動などについて詳細な考察を加えた。この精密な構造情報に基づいて光合成におけるエネルギー励起と電子伝達の分子機構の解明が加速されるであろう。
【注1】RCの構造解析は、初の膜貫通タンパク質の構造解析でもあった。
【注2】LH1とRCの構造は3分割されてPDBjから公開されている(3WMN3WMO3WMM
原著論文→ Niwa S. et al. Structure of the LH1-RC complex from Thermochromatium tepidum at 3.0Å. Nature 2014 Apr 10;508(7495):228-32. doi: 10.1038/nature13197. Online publication 2014 Mar 26
RESEARCH NEWS&VIEWS→ Cogdell RJ, Roszak AW. Structural biology: The purple heart of photosynthesis. Nature. 2014 Apr 10;508(7495):196-7. Published online 2014 Mar 26


TPプレスリリース(2013年4月末まで)
  2013年5月以後も、プログラムの研究成果が発表されてまいりますが、プレスリリースにつきましては、構造生命科学ニュースウオッチの記事としてご紹介してまいります。
TP論文オンライン(2013年3月末まで)
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