プロジェクトの成果

第一級の成果が研究室から社会へ

私たちの体は細胞からなっており、1つ1つの細胞の中では何千種類ものタンパク質が働いています。タンパク質があるからこそ、細胞は外からものを取り入れたり、細胞の中の反応を進めたりでき、私たちは生きていけるのです。

タンパク質の「形」と「働き」を理解することは、生命が営まれるしくみを知る上でも、病気の新しい治療法を生み出す上でも非常に重要です。たとえば、リレンザ®というインフルエンザ治療薬は、ウイルスが作るタンパク質の働きを抑えるもので、そのタンパク質の立体構造をもとにして開発されました。

そこで、本プログラムでは、タンパク質の形と働きを理解するために国内有数の研究者が集まり、それぞれの研究課題を遂行しています。タンパク質はどれも個性をもっているので、ある手法を開発すれば、それですべてのタンパク質を調べられるというわけではありません。さまざまな武器をもつ研究者が総力戦で取り組むことでようやく、その形と働きを見せてくれるのです。

ここでは、そのような研究体制のもと、本プログラム開始から2年余であがった成果をご紹介します。タンパク質研究の分野では世界的な競争が行われていますが、成果の中には、世界をリードするものや、タッチの差で外国より先に発表したものもあります。

こうした第一級の成果は、生命現象をより深く理解するのに大きく貢献します。ヒトをはじめとする生物の成り立ちを、タンパク質という役者のふるまいに基づいて知ることは、ライフサイエンスのさまざまな分野の発展の基礎となります。また将来は、これらの成果をもとに、副作用が少なく効果の高い薬や優れた農作物が誕生することでしょう。タンパク質の研究は、研究室の中だけのものではなく、社会に役立つものなのです。

タンパク質という相手はなかなかの難敵ですが、だからこそ、研究に取り組む意義は大きく、成果の意義も大きいのです。

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