ターゲットタンパク研究プログラム推進委員会委員長挨拶
ライフサイエンスは、生物が営む生命現象の複雑かつ精緻なメカニズムを解明する科学であるとともに、医療の飛躍的な発展、食料・環境問題の解決につながるなど、国民生活の向上及び経済の発展に大きく寄与するものとして期待されています。
平成15年4月のヒトゲノム全塩基配列の解読完了を始めとするゲノム科学の急速な進展は、生命に対する理解をタンパク質や遺伝子レベルで加速しており、特に、タンパク質の構造・機能解析は、その研究成果が医療への応用や産業利用に直結することから、我が国をはじめ欧米先進各国で国家的な取り組みが行われています。
政府は、第3期科学技術基本計画において、タンパク質等の構造・機能とそれらの相互作用の解明や遺伝子・タンパク質等の分析・計測のための先端的技術開発の重要性を指摘しています。文部科学省のタンパク3000プロジェクトでは、大規模NMR(核磁気共鳴装置)や大型放射光施設等の最新の機器・施設を整備し、我が国の研究総力を結集して多数のタンパク質の基本構造の解析を行い、我が国の構造生物学の水準を飛躍的に引き上げてきました。
平成19年度から開始する「ターゲットタンパク研究プログラム」は、これまでの成果や整備された基盤を最大限に活用しつつ、現在の技術水準では解明が困難であるが学術研究や産業振興に重要なタンパク質をターゲットに選定し、それらの構造・機能解析のための研究・技術開発を行うことを目的としています。このプログラムでは、競争的資金制度のもとに公募が行われ、厳正な審査の結果、プログラムの目的達成に貢献が期待される43課題が選定されました。
本プログラムにおいて生物科学上の意義や社会・経済上の意義の高い研究成果が生み出されるよう、プログラムの研究推進戦略を策定し効果的な研究開発を推進していくためにターゲットタンパク研究プログラム推進委員会が設立されました。日進月歩の激しい国際競争が展開される分野において、本年夏より5年計画の大規模な研究開発事業が始動し、プログラムの下で研究開発を実施する研究者には優れた研究成果の創出が求められています。我が国の優れた研究者の力を結集し、国民の皆様の期待に応えられる成果の創出のため取り組んでまいります。
平成19年10月
ターゲットタンパク研究プログラム推進委員会
委員長 別府 輝彦